卒業研究2007(5)子どもと英語−『セサミストリート』を媒体にして−

幼児教育学科 [2007年8月 8日]

高島、瀧口(指導教員 谷出 千代子)

動機・目的

平成20年度から小学校の英語教育が必修化されていく中で、こらからはますます英語が使えて当たり前の世の中になっていく。従って、言葉を習得していく幼児期において、英語が身近にある環境をつくることが大切なのではないかと考えた。
そこで私たちは世界中で有名な、『セサミストリート』を媒体として、5項目の映像を見た子どもの反応を分析し、『セサミストリート』が子どもの英語環境にもたらす効果についてみていこうと思った。

研究経過

  1. セサミストリートとは何か
    誕生のきっかけ、作者に、制作テーマについてなどを調べる。
  2. 保育園での実践・・・
    平成18年10月10日から11月13日にかけて概ね週1回の割合で実践した。

保育園での実践について

ねらい

英語の教材としてセサミストリートを使い、映像や絵カードを交え、実践前と実践後では子どもたちにどのような変化、または効果があるかを調べたいと思った。

実践手続きについて

  1. 対象児…英語教育を全く受けていない幼児。
  2. 年齢…5歳児。
  3. 男女児の比率…男児5人 女児5人。
  4. 場所…福井市立春山保育園 ぶどう組保育室。
  5. 期間…平成18年10月10日〜11月13日(概ね週1回の割合)。
  6. 時間…9時45分〜10時前後の15分〜20分。

実践方法

簡単な人形劇をする、英語であいさつをする、映像を見る、絵カードでクイズをするなど。

指導内容

「Good morning」「Hello」「Good bye」「Peach」「Apple」「Orange」「Grapes」「Come here」「Wait」「Stand up」「Sit down」「Look」「What your name?」「My name is ○○」「Hot」「Cold」のキーワードを中心に展開した。

結果と考察

私たちは実践にあたり、表情・理解・集中という3つの観点から、子どもたちの様子を観察し、それらを分析してグラフにまとめた。以下のグラフは、一番変化の大きかったM有とM子のグラフである。

M有は、1日目から集中力と理解力はあったものの、表情に乏しさがあった。しかし、2日目からは、表情に明るさが見られ楽しみながら活動に参加するようになった。

M子はおとなしい性格で、1日目からよく集中していたが、表情に乏しさがあった。2日目は欠席したため、3日目は不安そうであったが4、5日目になると、表情にも徐々に明るさが見られた。

まとめと今後の課題

私たちが実践のために、セサミストリートのDVDを準備しようとすると、被実践児は「いえーい」と言って毎回喜ぶようになった。また、セサミストリートのDVDを五日間見せると、全員が必ず集中して見ることが分かった。ではなぜセサミストリートを使うと、被実践児は活動に集中するのだろうか。

セサミストリートの特徴として、

  1. 人形と会話できる非日常的な世界である。
  2. 被実践児の好きな身近な食べ物や動物が出てくる。
  3. 日常的な会話が出てくる。
  4. 約三分間という時間で構成されている。

ということがあげられる。それらが被実践児の興味を引き立てることになり、それがセサミストリートを教材として使う効果なのではないだろうか。

これから保育現場へ出れば、英語教育に関わることがあるかもしれない。英語が身近にある環境をつくるためには、1園に1人は英語教師を配置するという教育環境をつくったり、手遊びや歌遊び、ゲームなどに英語で遊ぶ活動や、セサミストリートを教材として取り入れてみることもよいのではないだろうか。

そうすることで、継続的に学ぶことができ、子どもは英語に適応していくのではないかと思った。

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