卒業研究2007(2)リトミックの一考察

幼児教育学科 [2007年8月 8日]

久保、高坂、酒井(指導教員 平岡芳美)

動機・目的

最近、リトミックを行う園が多くなってきている。授業でも「リトミック」という言葉を聞いたことはあったが、実際、どんなものなのかは知らなかった。リトミックを学び、将来自分たちが保育者となった時に、保育・教育に繋げていけるような知識や技術を身につけたいと思った。そこで今回はリトミックに対する幼児の反応を実態調査することにより、リトミックの一考察としたい。

研究方法

  1. ビデオ・文献研究
    リトミックを書物・ビデオ等から研究する。
  2. 実態調査
    1を基にリトミックのカリキュラムを作成し、幼稚園・保育園でリトミックを行い、幼児の反応を見る。クラスごとに実施して三段階評価を行う。
調査内容
  1. 音を聞いて動いたり止まったりする即時反応
  2. 音の高・中・低を感じる音の高低
  3. 速・中・遅を感じる音の速度
  4. リズム
  5. 自由表現
の面から子どもの様子を見る。
対象児
県内幼稚園及び保育園計6園3・4・5歳児クラス
期間
H18年6月〜9月に実施

研究結果及び考察

ビデオ・文献研究

リトミックとはスイスの音楽教育家のE.J.ダルクローズが創案したもので、「音楽を手段として、感じたことをよりよく自己表現出来るようにする、心と身体の調和と発達の為の情操教育法」である。一般に「リトミック」とは、リズム運動・ソルフェージュ・即興演奏の3つから成り立っているが、幼児の世界のリトミックの場合、一番容易であること、利用範囲も広いことから、リズム運動を中心に行われている。リトミックでは、音楽を通して個々が感じた音を身体の動きを用いて表現する。

実態調査

即時反応・音の高低変化・音の速度変化・リズム・自由表現より調査。使用した曲は、「きらきら星」又は「線路は続くよどこまでも」を変化させ、子どもの反応を見て評価する。その時の子どもの反応は以下の通りである。

項目 年齢 評価 項目 年齢 評価
即時反応 N園 リズムに合わせた動き N園
T園 T園
H園 H園
K園 K園
N園 N園
S園 S園
音の高低変化 N園 自由表現 N園
T園 T園
H園 H園
K園 K園
N園 N園
S園 S園
音の速度変化 N園 ○…クラスの大半ができている
△…クラスの半分位ができている
×…クラスの大半ができていない

即時反応や音の速度変化に対してはできるまでに個人差はあるものの、どの年齢においても繰り返し行うことで比較的身に付くようである。それに対して、リズムに合わせて動くことは、5歳児でも困難なようだった。自由表現では年齢が大きくなるにつれて性差が見られる場合もあった。音の高低や、速度の変化については、はじめは指導者が声掛けをすることで、理解を深めていくようだった。

まとめ

リトミックは幅が広い。ねらいや中心となるものが音楽的・体育的にも分かれており、調査しにくかったが、指導者が子どもの育って欲しい願いを含んでいるカリキュラムを上手く選べば良いと感じた。

リトミックは自由表現を大切にするので、失敗がない、不正解がないという利点において、子どもの積極性・個性を引き出してあげられる素敵な保育法だと思った。

参考文献

  • 岩崎光弘「リトミックってなあに」ドレミ楽譜出版社 ・ビクターリトミック研究室「保育園・幼稚園のためのリトミック」リトミック教育社
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