祖父や両親が料理関係の仕事に就いていたので、昔から家族全員が台所に立っていました。そういう環境で育ったため、私自身も小さい頃から料理やお菓子作りが好きで、将来は「料理に携わる仕事に就きたい」と思っていました。具体的に、栄養士の道へ進むことを決めたのは高校生の時です。実は、調理師か栄養士かで悩んでいたのですが、そんな時、私のことをよく知る周囲の人たちから「あなたの性格なら、栄養士のほうが向いてるのでは?」と、言われたことが決め手になりました。当時の私は部活の副部長として、部費や書類などさまざまな管理をしたり、後輩を指導することも多かったため、その姿を見た友人や先輩たちがアドバイスをしてくれたのです。今となっては、そのアドバイスに従ったことは大正解でしたね。自分のことをよく分かってくれている人たちの意見は、大切だと痛感しました。
やはり、目に見える成果があった時にやりがいを感じます。例えば食欲不振だった利用者の方に対し、まずは、どうすれば食べてもらえるようになるかを、介護士や看護師の方と一緒に考えます。そして、ご飯をおにぎりにしてみたり、きな粉や桜でんぶをかけて見た目を変えたり容器を変えるなど、さまざまな工夫をした結果、全部食べてもらえた時には、嬉しさとともに大きなやりがいを感じることができました。また、より良い食事の提供を目指し、さまざま実験を行っていますが、それが成功して、実際の調理の現場で活かすことができた時には、「頑張って良かった」と思いますね。利用者の方々にとって、一番の楽しみである食事を、どうすればより安全においしく食べていただけるか。それを追求していくことが、今の私にとって、この仕事での大きなやりがいになっていると思います。
いろいろな意味でバランスを大切にしています。例えば、利用者のことを一番理解しているのは介護士や看護師の方ですが、みなさんからの要望をすべて叶えようとすると、調理の現場にとっては負担が大きくなり、今できていることができなくなる可能性があります。そういう時、管理栄養士は両者の間に立ってバランスを取る必要があります。最も良い選択をするためにはどこまでが可能で、その分の負担軽減をどこで図るのか。このバランスが大切だと思っています。また、研修などで積極的に情報を収集し、現場で活かせるものを探す姿勢も大切にしています。