
『横須賀1953』が発刊されました。
著者は一昨年、本学でご講演いただいた、和歌山大学 教授 木川剛志氏。
装幀は本学 西畑敏秀 名誉教授。
私たちはいろんな縁に導かれているんですね。
装幀をご担当された西畑名誉教授にサインをおねだり(✿˘艸˘✿)
※著者木川先生のサインは後日お願いします。

タイトルに使う文字を、すべてその時代の「情報」から
得るべきだと考えられ、資料収集するところから始められたそうです。
キーボードで打ってしまえば簡単にデザインすることも出来ますが、(※簡単ではないですが、、、笑)
書籍に描かれた当時の光景を読み手に伝えるためには、打った文字ではないと判断されたのでしょう。
「最初はいろんな本から活字を集めるつもりが、どうも脅迫状みたいな怪しい印象になってしまって、正統派の明朝体、ゴシックで垂直水平の基本的な構成で文字組したんや」
「結局使わなかったけど、カタカナの「ヨコスカ」も「ヨ」がなかなか見つからなかったんやぁ、、、
夏目漱石『こころ』の1ページに「チヨコレート」と「カステラ」を見つけてまたガッツポーズ。」と西畑先生。
出るわ出るわ、、、よもやま噺。
間違えましたデザインの世界では「プロセス」と言います←テストに出るよ‼︎笑
「ヨ」「コ」「ス」「カ」の文字を探すのは至難の業だったようです。
当時発刊された雑誌(※資料)をアメリカから取り寄せたとか(*˘︶˘*).。.:*♡
ようこそ、福井へ。
西畑先生の文字探しの旅は終盤となり、
タイトルの「横須賀」フリガナの「ヨコスカ」は
1953年(昭和28年)に発行された神奈川エリアの旅行ガイドより。
「1953」は夏目漱石『こころ』より、19pと53pから。

「洋子」の子は与謝野晶子から。

「剛」がその与謝野晶子の歌集から「剛」。
「志」は志賀直哉から。
そろそろお気づきですか?
ここにデザインされたすべての文字は1953年に発刊された書籍や印刷物から拝借したもの。
1953年当時の印刷された文字のブレは、その時代を視覚的に表現しているようです。
この装幀からは、1953年から72年過ぎた時代が持つ独特の質感や息遣いが伝わってきます。
この書籍は戦後「混血児」洋子が生き別れた母を探すという渾身のドキュメンタリー。
木川先生が1953年の資料をもとに母の痕跡を探されたように、
西畑先生も1953年の印刷物から装幀に使う文字を探されたのです。
書き残されてこなかった過去の事実。語り継がれてこなかった女性が紡ぎ続けた「混血児」としての生き方。
それを当時の文字によって装幀されたことの本質を私たちは受け止めなければなりません。
二人の旅の記録、どうぞお手にとってご覧ください(◍˃̶ᗜ˂̶◍)ノ"(◍˃̶ᗜ˂̶◍)ノ"(◍˃̶ᗜ˂̶◍)ノ"(◍˃̶ᗜ˂̶◍)ノ"